イカロスの墜落 2014 10 26

書名 推定脅威
著者 未須本 有生  文芸春秋

 陸続きの国で、
相手国は、最新鋭の戦闘機で守られている。
自国は、一世代古い戦闘機しかない。
そんな戦闘機で、相手国に侵入しても、すぐに撃墜される。
 さあ、どうする。
第一次世界大戦で使った複葉機を使います。
意外にも、おもしろい戦いができます。
 今から10年以上前に、ストーリーが違いますが、
似たような想定をマンガで読んだことがあります。
 それは、マンガ好きで知られる麻生財務大臣の愛読書である、
「ゴルゴ13」だったと思います。
 さて、前置きが長くなりましたが、
この本の紹介に入ります。
 日本が開発した最新鋭の戦闘機は、なぜ墜落したのか。
はじめは、パイロットの単純な操縦ミスとされたが、
再び同じ機種が墜落、なぞは深まる。
 「80秒後にターゲットにコンタクト」
領空侵犯が疑われる航空機に対処するために、
二機の戦闘機が、夜の日本海上空を通常推力最大で進空していた。
 地上レーダーの機影や飛行速度から、
対象は、「小型のプロペラ機」と予想された。
 侵入機は、ふいに降下を始めた。
「高度1000フィート付近」まで降下して水平飛行に戻った。
速度は、すでに「120ノット」近くに落ちていて、
さらに、じりじりと減速しつつあった。
 戦闘機のコックピットは、
音声と警告灯により、失速が近いと、騒ぎ立てる。
機体の振動も増えてきた。
 「うるさい」
「こいつは、100ノットでも飛べるぞ」と、
最新鋭のハイテク機を操る優越感に浸りかけた瞬間、
侵入機が、進路をふさぐように横滑りした。
 「あっ」
侵入機を避けようとして、とっさに、
スティック(操縦桿)に力をかけてしまった。
 この高度、この速度で、
それは、決して、やってはいけない操作であることを認識した。
 スティックを動かしたのは、一瞬だったが、
機体は、わずかに横に傾きながら失速、
直後にガクッと機首を下げ、高度を失った。
(引用、以上)
 相手国が、最新鋭の戦闘機を保有していて、
自国は、古い戦闘機しかない。
 そうなると、たいていの軍人は、
「もう、だめだ。勝てない」と、あきらめてしまうでしょうが、
意外な方法で、相手国を揺さぶることができるのです。
そして、相手国のパイロットの戦意が低下すれば、一石二鳥です。
そう言えば、「戦わずして勝つ」という兵法がありますね。























































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